いけばな歳時記(もも)広瀬典丈




もも

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広瀬典丈

この時期に咲くさくら属は枝に粘りがありためがきくのが特徴で、桃も枝が柔らかく、曲げるのに適しています。
思いきり曲げるには、枝に切れ目を入れて下垂させるような矯めも容易です。
その一方で素直な直線的な姿も魅力があり、古くは真っ直ぐな扱いが求められました。
作例は、紅白の桃で交差を作り、足下に菜の花を加えました。
このいけ方は草月流では勅使河原蒼風の時代、「綾いけ」と言って、花型練習が終わるとすぐ始まる自由花型の最初に教わったものです。
桃に菜の花も今や定番ですが、ここでふつう菜の花と言っているのは白菜の仲間です。

花/紅白の桃、菜の花
器/染付銀彩花器(広瀬典丈・さちよ作)