いけばな講座(「株分け」「併合」「吊り花」「掛け花」 )



→広瀬典丈Webいけばな講座 →2 基本について8 

→基本について →技術 →自然調とは →古典花
→造形いけばな →デザイン演習 →花材の研究 →テーマ演習

<戻る  「株分け」「併合」「掛け花」「吊り花」 進む>
→スライドショー
→(1)「株分け」(かぶわけ)ととその応用
→(2)「併合花型」 →(3)「掛け花」と「吊り花」

(1)「株分け」(かぶわけ)とその応用


←Photo1 ふとい、ダッチアイリス
↑Photo2 、ふじばかま

いけばなをいける時、一つにまとめられた根本を<>と呼びます。また、水盤などで<>を2つ以上に分けていけること (株分け)とか「二株にいける」と言うのです。(Photo12)


↑Photo3 、そけい、すかしゆり

↑Photo4 、アリウム、アンスリウム、ぎぼし

現在の (株分け)は、いけばなのバリエーションの1つで、どの季節にも自由にいけますが、歴史的には、水辺を映す夏の演出です。
花材を、<水もの>と<陸もの>(おかもの)、あるいは<水陸通用もの>などに分類し、左右を(水もの)でいけたり、水陸でいけ分けたりという趣向が好まれました。
(水もの)とは、水辺に生える植物、(がま・ふとい・かきつばた・はす・睡蓮・河骨など)、陸もの」(おかもの) とは、陸に生える植物一般です。水陸通用もの(すいりくつうようもの)とは、水辺にも陸にも育つ、荻・葦・花しょうぶなどを言います。
統的な手法に加えて、<うけ>にこだわず、<しん>や<そえ>の (株分け)、花器を複数使うなどの工夫で、さまざまな演習を重ねていくことが出来ます。差し口の狭い花器や、投入の(株分け)はありえないようですが、二つ以上の花器に一つの花型を活ける、つまり「花型の分解」など、展開の仕方では投入も使えます。


↑Photo5 、じんちょうげ、カラー

Photo3は、手前の足つき水盤に<そえ>と<うけ>を入れ、後ろに投入で<しん>を株分けした基本立真型。つまり、「花型の分解」です。Photo4は、3つの碗を並べたのではなく、つながった三口花器に、左右振り分けの<しん><そえ>と、真っ直ぐ前に倒れる<うけ>を組み合わせています。この作例でも株分けられているのは、アリウムで取った<しん>です。Photo5は、二口投入で、奥に一本のじんちょうげで(平真)・(垂副)と<しん><そえ>が入り、手前にカラーの<うけ>が株分けされています。


(2)「併合花型」


↑Photo6 、ふとい、くじゃく草、ひまわり

↑Photo7 つるばら、しゃくやく

花型を二つ以上の花器にいけ合わせて、一つのいけばな作品にするのが『併合花型』です。花型の組み合わせはなんでもかまいませんが、たとえば片方を立真型にしたら、他方は傾真型にするなどして、同じ向き、長さの枝が平行に出ないような工夫が必要です。<役枝>の数が多すぎると思えば、一つを『省略花型』にするのもいいでしょう。
 花材の組み方も、(主材)(枝もの)で<しん><そえ>、<客材>(草花)で<うけ>と固定せず、工夫すれば、効果的な『併合花型』ができます。(Photo6・7)

(3)「掛け花」と「吊り花」


←Photo8 あざがお
↑Photo9 こでまり、ヒヤシンス

いけばなでは、「
掛け花」・「吊り花」も昔から重視され、多くの「伝承花」があります。「掛け花」では花生けを正面壁や柱に掛けて、花器の正面からいける「向う掛け」、柱に掛けた掛け花生けの横からいける「横掛け」の二つに分けられています。
 「
吊り花」では、花器の形で、満月・三日月・舟などと言って。月を背景とした景観表現や、舟形の花器では、「垂真型」の(しん)を櫓に見立てるといった趣向が、今も残っています。
古典花の約束はともかく、「
掛け花」・「吊り花」は、蔓ものなど下がる花材を思い切って使い、「平真型」・「垂真型」を基本にしながら、できるだけ自由な表現を試すことがおもしろいでしょう。 (Photo8・9)

ぺージ頭に戻るhead↑