いけばな講座(「盛花」の「花型」2 )



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→(1)「自然調いけばな」と「出生」 →(2)「本勝手」と「逆勝手」
→(3)「立真型」と「傾真型」 →(4)「花型」の形を変える演習

(1)「自然調いけばな」と「出生」(しゅっしょう)

草木が自然の中に生えていた状態を、「出生」(しゅっしょう)といいます。これと「季節感」の表現が、「花型」の考え方の柱です。 こうしたいけばなの古典的な構成法を、現在は「自然調いけばな」と呼んでいます。
自然調」では、作為の顕わな形は好まれず、自然の何気なさが尊重されます。非対称の「花型」空間や「客位」を空けた不等辺三角形の構図、「自ずから成る」自然を祭る理念、「自然調いけばな」は、5百年以上人々を説得してきたのですから、当否はともかく、とりあえずそれを学ぶことから始めましょう。
花型」も今ではいけばなの練習方法としてカリキュラム化されています。

(2)「本勝手」(ほんがって)と「逆勝手」(ぎゃくがって)

書院や茶室などに客を通す位置は、奥が、手前が主人と決められていて、その左右は部屋の向きによって反対になります。それで、上座の位置(客位)の左か右かで「本勝手」「逆勝手」と区別するのです。
いけはなを飾る場合にも、どう飾るかは、「本勝手」「逆勝手」という、鏡で裏返したような「花型」の形で区別して来ました。ところが、実は書院と茶室で「本勝手」「逆勝手」に混乱があり、部屋も多様化していますから、今はこの区別は重視されません。ただ、形は残っていますので、枝や花の<右振り><左振り>の向きなどを見てどちらにするか選びます。
向かって左側に「主材」、右側に「客材」が来る(「右長左短」)のが「本勝手」、逆に右に「主材」、左に「客材」が「逆勝手」です。(右Photo) 。全ての「花型」の形には、その裏返しの形「逆勝手」があります。

(3)「立真型」と「傾真型」

いけばなの足元一つになった部分<株>から真っ直ぐ垂直に延びる線が<中心線>です。そこから15゜くらい傾く<しん>を持つ「花型」は比較的<しん>が立っているので「立真型」と呼びます。この「立真型」の<しん>と<そえ>を入れ替えた「花型」が「傾真型」です。
いけばなにも、書道のように、端正な表現を<
>、動きのあるくだけた自由な表現を<><>と捉える考え方があります。<役枝>の<しん>が<中心線>近くにあるほど、そのいけばなは<>であり、<中心線>から離れるほど<>になりますので、「傾真型」は、「立真型」よりも動きのあるくだけた表現と考えられています。「傾真型」の<>は傾きが大きい分バランスを考えて、<しん>の傾く方向の逆奥に剣山を置きます。

(4)「花型」の形を変える演習

役枝」の長さの比や角度は保ちながら、方向性や位置を入れ替える演習があります。「立真型」と「傾真型」も<しん>と<そえ>の入れ替えでできる形でした。
1、「 15゜役枝」の方向性を変える
上の「傾真型」の「 15゜役枝」の方向性が変わると、上左photo左のような「花型」ができます。「立真型」の作例は上左photo右。
2、
「役枝」 の<そえ>と<うけ>の入れ替え

また、「役枝」の <そえ>と<うけ>を入れ替えると左photoのような大きな動きを持つ「花型」ができます。もちろん「逆勝手」でも同じ様な演習が行えます。

3、
「役枝」全ての組み替え・「平真型」・<そえ>の省略

左上photoは、<しん>75゜、<そえ>45゜、<うけ>15゜にして「役枝」全てを組み替え、3方向に出した「花型」です。こうすると、四方正面のテーブル花がいけられます。
全ての「花型」で、「傾真型」の<しん>をもっと傾けて水平まで持って来る、「平真型」が作れます。
下photoは、さらに<そえ>を省略した「花型」です。この他にも、いろいろなバリエーションが考えられますので、工夫してみてください。

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