いけばな講座(「盛花」の「花型」1 )



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→(1)「役枝」とは →(2)「役枝」の長さ →(3)「役枝」の方向性
→(4)花型の肉づけと細かい注意点 →(5)「基本花型」をいける

(1)「花型」の骨組み=「役枝」とは

いけばなの「花型」を形作る3本の骨組みを、「役枝」(やくえだ)と呼びます。
いけばなは家の設(しつら)い「
座敷飾り」として生まれました。設(しつら)いとは「室礼」(しつらい)、お客をもてなす礼式(神事)です。
いけばなの形も、「
主材」(しん)と「客材」(下草)でいける「花型」、(しんの枝)=永遠性、(下草の花)=瞬間性という時空を祭る考え方が基になっていて、「木もの」と「草もの」を使っていけるのが基本です。花材 
→「盛花を作るのは、「役枝」と呼ばれる3本の骨組みで、流派によって呼び名は違っても、いちばん長い枝を<しん>、2番目を<そえ>と呼ぶ流派が比較的多く、<しん><そえ>に対応する歴史上の3番目の枝の呼び名は<うけ>です。<しん><そえ>は→「主材で、<うけ>は→「客材で取りましょう。右Photo左は右側面、Photo右は正面、下Photoは真上から見た「花型」です。以下3点にご注目ください。→いけ順はこちら 
1、「
主材」(<しん><そえ>)が やや後ろから前斜め左側に偏り、「客材」<うけ>が「主材」の少し手前前斜め左側に張り出していること。
2、正面から見た時、 <
しん>と<そえ>の間、<しん>と<うけ>の間が思い切って空いていること。
3、挿し口の前から厚く「
客材」<うけ>が肉付けされていること。

(2)「役枝」(やくえだ)の長さ

<しん>の長さは、花器から割り出すのが一般的で、「盛花」では、挿し口から上を、花器の大きさ(高さ+巾)の2倍程度に取ります。花器が長方形の場合には、(高さ+巾)と(高さ+奥行き)を足して、平均の2倍にしましょう。
これは
挿し口から上の長さですから、必ず、水に入る部分を加えます。<そえ><うけ>の長さは、<しん>の長さから割り出します。これも、流派によって計り方が遠いますが、<そえ>は挿し口から上を<しん>の長さの3/4〜2/3、<うけ>は挿し口から上を<しん>の長さの1/3、または<そえ>の1/2で取ります。(図のマークは○が主材、△が客材)

(3)「役枝」の方向性

枝や草花が太陽に向って延びていく動きを「方向性」といい、いけばな作品の根本から垂直に真っ直ぐ延びる<中心線>から、「役枝」が左右・前後にどれだけ傾くかで、「花型」の形が決まります。剣山水盤の手前左に置きましょう。
(
しん)は<中心線>から左真半分45゜線までの左1/3辺りまで、<そえ>は左真半分45゜線まで前斜め半分まで傾けて留めます。一方<うけ>は右水平線から右真半分45゜線まで1/3上がる辺りに、前斜め、手前上から見た感覚では<そえ>と直角(実際は75゜くらい)に見える所まで傾けます。(左図)
3本の「
役枝」を剣山に差すときの位置も、その方向性に合わせ、少し間隔を置くと肉付けを加え易くなります。(上Photo)

(4)花型の肉づけと作品中心(視点)の位置

1、花型の肉付け
花型」の肉付けで大切なのは、枝や花をどれだけ加えても、3本の「役枝」で出来上がった、「花型」のアウトラインを壊さないようにすることです。肉付けがその「役枝」よりも長くならないように、また、それぞれの「役枝」間に隙間を空けて、「花型」の枠組に収まるようにすっきりいけ上げましょう。
主材」<しん><そえ>の枝のまとまりは、枝分かれを左右に広げず、前後に奥行きをつけて、それぞれをすっきりした線に見せるのがコツです。枝が曲がっているときの角度の取り方は、極端に考えられる弦と弧の2方向の平均で考えます。
客材」に用いる花や→茂りは、全て<うけ>の肉付けです。「盛花」では、挿し口から水際あたりに花材を盛るようにいけます。
2、作品中心(視点)の位置
作品中心」は、ぱっと目が行き一番よく見られる所で、そこが「客材」の位置になります。ただ、全体の骨組みを作る「役枝」の「うけ」は右端にあり、ふつうは「作品中心」ではありませんから、少し小さい花や蕾を使います。手前に突き出すように見る側に向かうものは、大きくて華やかな「客材」を用い、その後ろには少し短く上向きの肉付けを持ってきます。この2つを<うけ前><うけしん>、として「役枝」に加える流派もあり、そこを前後に見通すような深い奥行きでいけることが、いけばなの最重要ポイントです。
作品中心」は、見る人の視点と重なりますから、飾る場所の高さや客との距離、視線の位置や動きも関係してきます。見る位置が高ければ「作品中心」は低く、逆に低ければ「作品中心」は高くし、飾り終えた後の補正も大切です。→(自然調作品中心
照明などの光源の位置で花が動くこともあります。その場合は、無理にもとの位置に戻すのではなく、光源に合わせていけ直しましょう。 

(5)「基本花型」をいける

<しん><そえ><うけ>の順に、左上Photoの左・中・右のようにいけていきます。
その下Photoは、左から、<
そえ><うけ>を入れたところの右側面。
中は、 <
しん><そえ><うけ>を入れ終えたところの右側面。
右は。それを真上から見たものです。

3つの「
役枝」は、ふつうは先ず始めに入れます。
次ぎに入れる順番は特にありませんが、 ここでは作品中心の<うけ前>と<うけしん>を入れています。Photoは左から、正面、右側面、真上。
次ぎに<
しん><そえ>と肉付けし、
最後に足元を整えて完成です。
剣山は仕掛けですから見せないようにします。
茂りで隠せない場合には、小石などを敷いて隠しましょう。→完成作

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