いけばな講座(花材の扱いと道具2)



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→(1)いけばなの形 →(2)盛花」と「投入」
→(3)曲げる技術(「矯め」と「根たたき」)  →(4)いけるポイント

(1)いけばなの形

いけばなで最初に習うのは、後ろに背の高い枝「主材(しゅざい)」(しん)を入れ、手前にそれより低く草花「客材(きゃくざい)」(下草)を置くということです。その二つの組み合わせを使って、「役枝」(やくえだ)と呼ぶ三本の骨組みに沿って肉付けして→→「花型という形にするのです。
役枝三本の内、一番長い枝(しん)の長さは、いける花器の大きさ(花器の高さ+幅)によって決めます。ふつう「盛花」では、差し口から花器の大きさの2倍が(しん)の長さ、「投入」では、差し口から1倍半が(しん)の長さです。他は全て(しん)よりも短く使うようにすれば、だいたい花器の大きさに対する比例でいけばなの大きさが定まります。

(2)盛花」と「投入」

水盤や平かごなど、丈の低い口の広い花器に剣山七宝(右Photo左剣山,右七宝)などを使って生けるいけばなのスタイルを「盛花(もりばな)」と呼び、口がせまく丈の高い、壷や瓶にいけるいけばなを「投入(なげいれ)」と呼んでいます。左Photo上「盛花」下「投入」。
右Photo上左の
角剣山は、写真のように前後に長く左右に短い状態に置いて使いましょう。その方が剣山を隠しやすくすっきりまとめられ、剣山も安定します。
投入」では「盛花」のような剣山などは用いず、「じか留め」や「添え木留め」という方法で花材を留めます。Photo左「じか留め」右「添え木留め」。

(3)曲げる技術(「矯め」と「根たたき」)

いけばなでは、枝を曲げて使うことが多く、特に投入では、1、「花器の内壁に枝・茎をつけて留める」2「枝の反りがはっきりすることで留めやすくなる」など、留めるためにも→曲げの技術(「矯め」)が必要です。枝を曲げるには、左右の親指を上にして、曲げる枝の背を押さえて両手で握り込み、左右の拳骨がぶつかるところまで曲げていきます。この時、力が入っているのは、両親指と手のひらの内側です。春の「花木」(かぼく)など、ねばりのあるものは、この方法で曲げます。(上Photo)
中が空洞の枝や内外の組織が違う枝などの場合には爪でつぶしたり(左Photo左)、はさみの肩の部分や金槌で叩きつぶす(「根たたき」)、枝に切れ目を入れる楔をはめる折るなどの方法もあります。水仙の葉などは、手でしごく「しごき矯め」をよく使います。効果的ですが、やりすぎると光って、粉を吹いたような水仙の葉の質感が失われ、腰も弱くなるので要注意。(左Photo右)水仙の質感を残したい場合にはしごかずに矯めます。
矯め」や「根たたき」は、投入の「じか留め」でも使います。「草もの」では、花器の内壁に当る茎の部分を叩くと、抜けたり動いたりしやすい草ものを前に出したり、上向かせたり出来るようになります。(左Photo)

(4)いけるポイント

いけばなの「花型」をまとめる要点は以下の3点です。
1,(前傾)
いけばなをいける時、それがぜんたいに少し前かがみになっていると良い、という話です。太陽は上にありますから、草木日表の太陽側に向かう時、ただ南向きではなく、上に向かって茂ります。それで、草木は横から見るよりも、斜め前にかざすほうがずっと精彩があり、勢いが強いのです。花型のはなは、前斜めに傾いた形にいけられています。
2,<メリハリと空間>
枝や草花をいくつかのクループに分けて、隙間を置く。枝を傾けて対角の空間を空ける、グループごとに方向性をまとめていくなどすると、リズム感が生まれます。「盛花」では株を水盤の中央に置かず、端に寄せて水を見せるなどの演出もあります。
3,<作品中心>
いけばなでは、ぱっとはじめに目が行き、一番よく見られる所は、ふつう花が集まる部分になります。それを「<視点>の<中心>」とか、<作品中心>と呼んでいます。そこを前に突き出すように前後に深く、前から後ろまで、見通すような深い奥行きでいけるようにすると、とてもいけばな的な作品になります。
いけばなの<奥行き>は、そうして出来ていますから、まずはそれをしっかりと身につけましょう。→(自然調の作品中心

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