いけばな講座(投入の留め方)



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→投入の留め方 1-1 じか留め 1-2 矯めし留め と根たたき
1-3 折り留め 
2-1 縦添え木留め 2-2 横添え木留め
3-1 十文字留め  3-2 又木留め  3-3 笄(こうがい)留め

投入の留め方

投入の留め方は次の3つに大別できます。
1 じか留め(留める枝そのものを工夫する)
2 添え木留め (枝に 別の枝で添木をつける)
3 仕込み留め (いける花器に仕込みを入れる)
3つをさらに、以下の8つに細分し、それぞれ説明します。

1-1 じか留め

投入」の枝を留める方法は、基本的には3点を決めるという考え方です。→投入の基本
投入」では、花器の「挿し口」から外に延びていく枝が、傾いて下に向かうような<じか反り>の場合挿し口」のA点と、枝が花器の中で当たるB点だけで、枝は留まってしまいます。
A、B点を安定させる工夫として、
B点の枝元は花瓶の内壁にぴったり当るように、斜めに切ります。(右Photo左)

1-2 矯めし留め と根たたき

矯めし留めというのは、花瓶挿し口A点を曲げて安定させる、花瓶内壁B点を曲げて安定させるなどの工夫です。(上右Photo右)
左Photo左内壁にあたるように矯め、左Photo右挿し口で矯めて枝の座りを良くしています。
草ものの茎を叩くことを根たたきと言い、これも内壁に当たる部分を作り花を上向かせる技法の一つです。

1-3 折り留め


折り留め
には、B点を折って、安定させる手法(左上Photo左)と、折ることで、新たなD点を作り、添え木留めのようにする手法(左上Photo中)、また、ふといやとくさなど、草ものの軽い花材を、仕込み留めのように、花瓶に噛ませてしまう(左上Photo右)のような留め方があります。

2-1 縦添え木留め

枝が「挿し口」から上に向かう<そえ反り>の枝は、ふつうはそのままでは留まらないので、枝に添え木という枝をつけます。
縦添え木」を使い、「挿し口」のA点、花器の内壁のB点、「縦添え木」の足元が花器底角に当たるD点によって枝を固定します。(右図)
添木の長さを調節するだけで、いける枝の角度も自由に決められるなど、「
縦添え木」は利点も多く応用範囲の広い留め方です。→投入の基本
縦添え木留め」は、特に挿し口が真っ直ぐのずんどう花瓶で威力を発揮しますが、花瓶の挿し口がすぼまり、花器の内壁が丸くなるにつれて、添え木のC点が滑って動くようになりますので、その場合には、次に説明する横添木の方が留めやすいのです。

2-2 横添え木留め


花瓶の
挿し口がすぼまった花瓶や胴丸花瓶のような、肩のある花器では、いける枝に対して添え木を横にし、花瓶の肩口に「横添え木」によるB、B'点を取って肩の支えで留める方法があります。(右図)
横添え木留め」では、
a 挿し口から入る限界の長さで添え木を作る
b 立った枝から寝た枝の順に入れる

などのコツがあり、枝に重心がしっかりかからないと安定しません。
横添木を花器の肩にかけず、下に沈めることを「げたを履かせる」と言うことがあって、枝が動きやすい時にはこうした固定の仕方もあります。

3-1 十文字留め

花器に「仕込み」(込み)と呼ぶ枝を入れて、花器の挿し口ではなく仕込み枝に枝の支えA点を作る留め方を「仕込み留め」といいます。
十文字留め」は、花瓶の挿し口の少し下に二本、十字に枝を入れて、それにひっかけて枝を留めます。「一文字」「二文字」「井桁」など、仕込み(込み)に違いがあっても、ただひっかけて留めるのは、「十文字留め」の仲間と考えましょう。
この留め方では、いくぶん枝が立ち上げられるものの、
じか留めの枝しか使えません。矯めし留め折り止めを使って枝を作ります。
一方、「
十文字留め」では、花瓶の中央に枝が来ますから、「横添え木留め」に無い、足元をまとめたり、花器の挿し口花材を触らせないいけ方が出来ます。その特徴を生かすには、「十文字留め」では、仕切った内の、少なくとも1〜2か所は枝を入れないで、足元を引き締めていけると、効果的です。(左Photo)(右図)

3-2 又木留め

又木留め」は、「込み枝」に「又木」と呼ぶY字型の枝を使い、いける枝をY字の又の所に挟み込んでいきます。いけばなの形がだいたい出来たら、いけた枝を又木に押え込むための「留め木」をはめ込んで完成です。(左Photo)(右図)
これがなければ、
又木留め十文字留めと変わりません。又木留めでは、留め木で、いけた枝が固定されるのです。しかし、重い枝、滑る枝を留めるのは易しくありません。
又木留め」は、未生流などの「生花」の花留めの主流として使われてきました。「生花」では「花器擦り」と言って、いけた花材が花器の挿し口に触ることを嫌います。「花器擦り」を避けて足元を一つにまとめたいときには「又木留め」が向いています。

3-3 笄(こうがい)留め

松月堂古流などのいけばな流派でよく使われるのは、花器の挿し口の下に割竹を2つ入れて、花材を挟み込んで固定させる、「笄(こうがい)留め」と言う留め方です。
いけた枝がほぼ動かないように固定する留め方を
笄留めと呼ぶことにしましょう。
中作や大作をいける際、重い大きな枝を固定するには、「
込み枝」といける枝を縛り、花器に噛ませてしまった後、花瓶の側壁にあてがったり、花瓶底の剣山に挿すなどすれば、大作でも主な枝がしっかり留まり、軽快感のあるはながいけられます。

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