いけばな講座(造形いけばな3「花材の造形練習2」)



→広瀬典丈Webいけばな講座2→1 造形いけばな3

→基本について →技術 →自然調とは →古典花 →造形いけばな
→デザイン演習 →花材の研究 →テーマ演習

<戻る  造形いけばな3「花材の造形練習2」 進む> 
→スライドショー

→(1)卷く・丸める・通す・くるむ →(2)結ぶ・編む・絡ませる
→(3)つなぐ・組む
 →(4)分ける・剥ぐ

(1)卷く・丸める・通す・くるむ

↑Photo1 はらん ↑Photo2 いちじく ↑Photo3 やつで ↑Photo4 とくさ、かれ草
↑Photo5 そけい・あじさい・カークリコ

卷く・丸める・通す・くるむ・包む」なども、よく使われます。
Photo1は、はらんを葉柄などに巻き付けて丸め、その卷いた動きを側面から見せています。
Photo2は、いちじくの葉を丸めたもの。大きな葉を丸めるとふっくらボリウム感のある塊が出来ます。
Photo3のやつでは、黒みを帯びた古い葉を丸め、そこに明るい緑の新葉と花を配しています。透明ガラス花器の中にも、花器の内壁の丸みに沿うように、やつでが入っているのが分かりますか?
Photo4は、中空のとくさの茎を利用し、赤く着色した枯れ草の茎に通してつないでいます。それを、重心を下げたヤジロベーに作って、ガラス花器に絡ませたとくさの上ではなく、瓶に入れた一本のとくさの上に乗せているのです。
Photo5は、上に絡ませた黄そけいの足元をくるむようにカークリコを使っています。もっと大きく包むような使い方も面白い演出になるでしょう。


(2)結ぶ・編む・絡ませる

←Photo6 がま・とくさ
↑Photo7 エニシダ

結ぶ・編む・絡ませる」も、前項で取り上げた手法と共通です。
Photo6は、がまの穂をとくさで結束しています。
Photo7の、緩く結んだエニシダを使った一種いけは前項の卷いた葉らんと似ていますね。
長細い葉や、柔軟性のある枝など、どんどん新しい動きが引き出せますから、さまざまな花材を利用して、卷いたり結んだり丸めたりの工夫を楽しんでください。
革工芸には、両端が一つで中央部だけが三つ編みになったベルトなど、→「
トリック三つ編みという手法があります。
Photo8で説明しますと、中部分だけ三つに裂いた葉の、下の方から、右外左外、中と交差させ、3-4のように潜らせます。よれた葉をもう一度潜らせると三つ編みが出来ます。

↑Photo8 「トリック三つ編み」の手法

葉を編んだようにしたいだけなら、交差させた後潜らせれば出来てしまいます。
Photo9は、カーネーションを囲むように、トリック編みしたジャーマンアイリスの葉を絡ませています。

 

↑Photo9 ジャーマンアイリスの葉、カーネーション ↑Photo10 ふじづる、あじさい ↑Photo11 ぎんめ、チューリップ、旭日はらん

Photo10は藤づるを丸く編んだ(織った)作例。
Photo11は、銀芽かしわの枝を花器に咬ませながら絡ませて、はらんとばらをその中に、さらに絡ませるように入れています。



(3)つなぐ・組む

↑Photo12 アリウム、ガーベラ ↑Photo13 がま、とくさ ↑Photo14 ルリ玉あざみ、ばら

つなぐ・組む」などの方法で、花材は大きく表情を変えます。 Photo1〜11も、葉や中空の茎を使って組んだりつないだりしています。Photo12のような動きのある茎を持つ花材は、花器の中で少し工夫すれば、見る側もつながりを感じてくれますから、実際の花材が持っている動きよりも、より大きな動きが見せられます。

↑Photo15 ワイヤでつなぐ方法

Photo1・3など、柔らかな花材は両面テ−プやホチキスなどでつないだり、Photo10・15〜18のような粘りのあるものは、 結び合わせます。
水揚げの心配のいらないものは、Photo14のように、枝分かれなどを利用して正四面体などのユニットを作ったり、積み木のように組む手もあります。草ものなどの柔らかい2つの茎を角でつなぐ時は少ししっかりした針金をL字に折り曲げ、双方の茎に差し込んでつなぎます。(Photo15)



(4)分ける・剥ぐ

↑Photo16・17・18 ふじ   
 ↑Photo19 あおき、たけしまゆり

1つの花材を、、あるいは枝の分岐など、それぞれの部分で分けて、再構成するという方法もあります。
Photo16のふじの葉を全部取ると、Photo17のような葉を付けていた延びた細い緑の枝が放射状に現れて、とても美しいのです。その枝を結んだりして組み合わせ、葉は別にして、卷いてつないで右に置いたのがPhoto18です。
植物の茎や枝の表皮と内側では、かなり色合やきめが異なる場合が多いものです。カッターやはさみで表皮を剥ぎ取ると、鮮やかな対比を作りだせます。Photo19は、あおきですが、葉先を残し、根本の枝を結び合わせたりして形を作った後、。ちょうどりんごの皮をむくようにカッターで剥ぐ部分を作りました。
あおきの枝は葉と同じ緑ですが、表皮の下は黄みの白です。あおきの葉も、上は表葉、下は裏葉と見せ方を変えています。

ぺージ頭に戻るhead↑