いけばな講座(自然調いけばな2)



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→(1)交差(綾いけ) →(2)主材>とその<方向性 →(3)「阿吽」による構図法

(1)交差(綾いけ)

↑Photo1 桜、なたね
勅使河原蒼風は「花型」の練習が終わった後、自由花の一番最初に「交差」=「綾いけ」という演習を持ってきました。
「交差」は、もともと「
古典いけばな」では、やってはいけないタブーです。それを、あえて自由花の最初にやる、枝を交差させて、その真ん中に花を持ってくる、それが「綾いけ」です。
いけばなには、もう一つ、「
一木一草」というスタイルがあります。
一木一草」 の様式では、まっすぐ延びていく「主幹」を切り詰めて、そこから出た「わき枝」を上に伸ばして使うという考え方があります。

↑Photo2・3 Photo1を別々に見る

↑Photo4・5 Photo2・3を横から見る
 「わき枝」を使うことで、枝の動きにためができ、表情が生まれます。
Photo1は、Photo2・3のような
「一木一草」のスタイルの花を交差させているのです。
蛇足ですが、側面から見たときの前に突き出す奥行きの付け方も要です。(Photo4・5)
いけばなのルールは、子供の遊びと同じで、 プレーの最中でも書き換えが可能です。
「一木一草」の世界が、ちょっとしたルール変更でぜんぜん別の世界に変わる。そんな演習が「交差」のテーマです。

(2)<主材>とその<方向性>


↑Photo6 ふじ・しゃくなげ↑Photo7 こでまり・アネモネ
今度は<主材>の<方向性>という観点から、「自然調いけばな」の枠組を広げましょう。枝や草花が太陽に向って延びていく動きを<動勢>・<方向性>といいます。<主材>の<方向性>は、作品のもたらす表情や雰囲気を決める重要な要素です。例えば1、<向心>、2、<遠心>、3、<統一>などの見方で、いけばなを考えていくことにしましょう。<向心>は、いけばな作品の空間内の一点に、主材のすべての枝が向っていくようないけばなです。作品空間内に太陽はないので、ちょっと現実離れした雰囲気が出せるのと、空間を包みこむことで、ボリウム感のあるいけばなになります。(Photo6・7)
<遠心>は、<向心>とは逆に、作品の空間内の一点から外に、主材のすべての枝が逃げていくようないけばなで、足元を引き締めて、放射状に拡散的な空間を作ります。Photo8のように、外に延びる枝は生命観を強調する効果があります。また、Photo9の稲科の雑草(作例はチガヤ)のように、茎が細く穂のあるものは、素晴らしい動きを見せられます。
↑Photo10 さんごみずき・カラー ↑Photo11 はす
                   ↑Photo12 あかめかしわ・ばら
<統一>にはいろいろなものがあり、日表を書面に向け、右振り左振りで枝の動きを考えるいけばなはもう<統一>と言っていいでしょう。
しかし、ここで紹介するのは、もう少し限定した、「
一方流し」(Photo10)「二方流し」。
(
Photo11)のように、<主材>が1方向や2方向に流れていくようないけばなと、交差するいけばなです。(Photo12)1方向や2方向に風を受けるように流れる風情は、古くから好まれ使われて来ました。一方、交差する型は好まれず、勅使河原蒼風が、花型練習後の自由花の習い初めで、一方流し」と共に、「綾活け」の呼び名で「交差」を取り上げて以来、広まったものです。

(3)「阿吽」による構図法

↑Photo13 つくばねうつぎ   ↑Photo14 あかめがしわ、              モンステラ、たますだれ

自然調いけばな」を今度は「阿吽(あうん)の構図」という、少し違う角度から考えて見ましょう。
阿吽」(あうん)というのは、「吐く・吸う」の呼吸を意味する仏教語で、庭や建物・絵画など「日本」のさまざまなシーンでその構成法を支えています。それは、左右や上下一対で、 1、「向かう・受ける」2、「凸凹」3、「粗密」4、「遠近
などの間合いや構図を作っていく手法です。


↑Photo15 こでまり
→Photo16 はなしょうぶ、なつはぜ

いけばなの花型の<主材>(<しん>)と<客材>(<下草>)による構成も実はこの「阿吽」(あうん)なのですが、もっと構図的に考えると、「自然調いけばな」の→「株分け→「併合花、さらに「座敷飾り」として書院数寄屋を飾るときの、いけばなのバランス感覚なども、腑に落ちてきます。(参考図書として、『ジャパネスクの見方』西岡 文彦著作品社、1989年刊がお勧めです。)
Photo13は、つくばねうつぎの一種活けです。上から下に向かうつくばねを、下に並んだ葉が受ける構図ですPhoto14は、併合花。グローブのようなモンステラの凹みが、下から上に延びる赤芽の凸部を受け入るような構図で、「向かう・受ける」の関係や遠近」が分かりやすいでしょう。凸投・凹受どちらで遠近を取つてもかまいません。
Photo15・16は、粗密・遠近の阿吽の作例です。屏風・襖絵のように、4株で前後を取り左右で粗密を取りながら、後方に遠近がつくように、花も少し小さいものを選ぶと、遠近が強調されます。












 

 

 




 

 




 

 

 

 

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